7月17日(金)全国公開/配信が決定! 映画『劇場』行定勲監督が語る山﨑賢人と松岡茉優の演技の魅力‬

2020.6.30

作家・又吉直樹が「火花」で芥川賞を受賞する前から書き始めていた、作家の原点ともいえる小説「劇場」。演劇の世界で夢を追う永田と、彼を支えるまっすぐな沙希の物語が、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)や『ナラタージュ』(17)など、時代ごとに日本映画界に新しい風を送り続けてきた行定勲監督によって映画化された。
主演を務めるのは今最も輝く俳優・山﨑賢人。ヒロインを演じるのは、若き実力派女優・松岡茉優。共演には、寛一郎、伊藤沙莉、King Gnuのボーカル・井口理といった、若手ながら今後の日本映画界になくてはならない存在になるであろう個性派な俳優・アーティストたちが揃い化学反応を起こしている。

恋愛における幸せと背中合わせのどうしようもない葛藤や矛盾を真っ向から描いた本作について、行定監督が語ってくれた。

―まず、この作品を映画化するに至った経緯を教えてください。
「新潮」に掲載された原作小説を読んですぐ、プロデューサーに電話して、監督に立候補しました。身勝手な永田を受け入れてしまう沙希の気持ちや、沙希に支えられている永田の非力さが、どうしようもないんですが、とても切なくて。ラストシーンまで、こんな風に映像化したいと鮮やかに思い浮かびました。
―そんな永田と沙希の役に山﨑賢人さんと松岡茉優さんを選ばれた理由とは?
山﨑のことは、以前から映画を観て知っていて、彼のように綺麗な顔をしている人が、生活費すら払えないどうしようもない人間だと、非常にたちが悪いですよね。永田には露悪的な佇まいを持ちながらも、どこか憎めない可愛らしさを持っていてほしかった。山﨑にはそれが表現できるだろうと思ったんです。松岡はアグレッシブさを持っていて、役によってアプローチを変えている。松岡は圧倒的な印象を残すだけでなく、見た目も含めてだんだん変化していく沙希を上手く表現してくれるんじゃないかとキャスティングしました。
―山﨑さんはいままでの役とはかなり印象が違います。
これまで山﨑が演じてきた役は表情もセリフも”決める”芝居が多いですが、彼は決して何でもできるというわけではなく、できないこともあるし、不器用さも持っている。それが永田に繋がっていて。今まで誰もオファーしなかっただけで、永田のような役もとても似合っていると思います。
―実際にお二人と撮影をしてみていかがでしたか?
松岡は初めから、どこで何をすることで、何を表現できるのかということまで計算して、役を作り込んでいるんです。そしてそれを捨てていくことで、沙希が壊れていく様子を表現していく。僕の想像と全く違う演技が出てくることもたくさんありましたが、ちゃんと彼女がそこで何を表現しようとしているのかが理解できました。そういう意味で彼女は天才的だと思います。かたや山﨑はどちらかというと衝動的に演じるタイプです。松岡の演技を受けて、振る舞いが変化する。でも、自分の中にあるものを大切にしているので、基本的なところがブレることはなくて。永田と沙希が共鳴しながら変わっていく様子がとてもリアルで、毎回どんな演技をしてくるのか、楽しみでした。
―永田のライバルの小峰役にKing Gnuの井口理さんを起用された理由も気になります。
ワンシーンしか出てこない中で、自分と同世代なのに、実力も風格も圧倒的に違う人間を目の当たりにするという敗北感を作り出せる人は誰かいないかと探していたところ、スタッフの中に、たまたまKing GnuのMV撮影に参加している人がいて。井口が演劇をしていたという話を聞いて連絡を取ったら出ますと返事をくれました。撮影時はとても緊張していたみたいですが、彼の誠実さが表れていてリアリティのある表現はとても良かったです。観た人が誰だかわからないけれど只者ではないなと思うように、あまり顔の知られていないミュージシャンから選んだのですが、公開時にはもはや誰だとはならないほど有名になってしまいました(笑)。
―観終わったあと、なんだか言葉にはできない感情が湧き上がって来るような作品だと感じました。
何故かわからないけれど、涙が出てきたという感想をよくいただいています。あのシーンで、あのセリフで、とかではなく、なんだかよくわからないところで泣いてしまうと。それは、作り手である僕が、この映画を通してこの2人の感情をわかってほしいのではなく、2人の感情が成り立っていれば良いと思って作っているからでしょう。そんな2人を観て、なにかを感じる。何を感じるかは、受け手に委ねています。そして、俳優たちも自分たちの中で、感情を探らないようにしていたんだと思います。意識的に探ると、きっとあざとく表現してしまうから。
―『世界の中心で、愛をさけぶ』や『ナラタージュ』もそうですが、今作のように文学作品を映像化する上で、意識されていることはありますか?
原作で作家が表現しようとしていることを変えないということです。でないと、その原作である意味がないですから。監督や脚本家の仕事は、原作者が考えたものを映画として再構築することだと考えています。
本作は劇場公開と同日、Amazon Prime Video(以下Prime Video)にて全世界独占配信も開始される。実写邦画が劇場公開と同時に定額制動画配信サービス上で配信されることは、日本のPrime Videoで初の試み。
映画『劇場』を、映画館で、そして自宅で、ぜひ楽しんで。

『劇場』‬

©2020「劇場」製作委員会

【STORY】

高校からの友人と立ち上げた劇団「おろか」で脚本家兼演出家を担う永田(山﨑)。しかし、前衛的な作風は上演ごとに酷評され、客足も伸びず、劇団員も永田を見放してしまう。解散状態の劇団という現実と、演劇に対する理想のはざまで悩む永田は、言いようのない孤独を感じていた。
そんなある日、永田は街で、自分と同じスニーカーを履いている沙希(松岡)を見かけ声をかける。自分でも驚くほどの積極性で初めて見知らぬ人に声をかける永田。突然の出来事に沙希は戸惑うが、様子がおかしい永田が放っておけなく一緒に喫茶店に入る。女優になる夢を抱き上京し、服飾の学校に通っている学生・沙希と永田の恋はこうして始まった。
お金のない永田は沙希の部屋に転がり込み、ふたりは一緒に住み始める。
沙希は自分の夢を重ねるように永田を応援し続け、永田もまた自分を理解し支えてくれる彼女を大切に思いつつも、理想と現実と間を埋めるようにますます演劇に没頭していき―。

監督
行定勲
出演
山﨑賢人 松岡茉優
寛 一 郎 伊藤沙莉 上川周作 大友 律 / 井口 理(King Gnu) 三浦誠己 浅香航大
原作
又吉直樹「劇場」(新潮文庫)
配給
吉本興業

映画公式サイト:https://gekijyo-movie.com

7月17日(金)より伏見ミリオン座ほかにて、全国公開/配信

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